水戸ホーリーホック2019年の選手短評(MF、FW編)

歴代最高得点も…「誰が出ても水戸」の表裏

今年の水戸は全てにおいて歴代最高またはそれに準じる数字をたたき出したが、得点についてもそれは例外ではない。水戸のコンセプトの一つである「誰が出ても水戸」を合言葉に多少メンバーが変わってもどこからでも点が取れる攻撃陣を十分体現できていたのではないだろうか。反面現在の水戸の選手層ではスタメン=ベストメンバーとなり、交代しても戦力が落ちることはないが上がることもない、端的に言えば「切り札」がない状態であった。点が取れない時は誰が出ても取れないというのは実際いくつかの試合で監督の采配の迷いという形で出ていたと思う。シーズン20得点取れるエースがいるチームが必ずしも上に行けるわけではないが、やはりプレーオフや自動昇格圏を目指すのであればシーズン通して15点前後取れるストライカーは現状の戦力にさらにプラスとして欲しいところだ。
なおこれを書いている時点で長谷部監督は既に退任しており新監督は決定していない。

MF 前 寛之(8)

今年は札幌から水戸へ決意の完全移籍。ボランチとして一年を通してチームに貢献した。パスの配給やビルドアップの楔としての攻撃的な面に加えリーグでもトップクラスのインターセプト能力を発揮。加えてチームが本当に苦しい時に炸裂するミドルなどまさにチームの心臓というべき存在だった。一方で対人守備では若干の不安があり、致命的な場面を防ぐ代償としてもらったイエローカードはリーグ5位タイの8枚。結果として欠場した3試合がどれも「前がいれば…」という内容だったので来年はイエローをもらわない努力もしてほしいところだ。余談だが山口にいる兄も仲良く8枚もらっていたりするので多分この兄弟はそういうスタイルなんだと思う。

MF 白井 永地(18)

序盤は平野に譲る機会も多かったが茂木不在の右サイドを経て最終的に前の相棒としてボランチに定着した。前よりも攻撃的な配給ができ、ファーストディフェンスにも強くチームを救った。強烈なミドルシュートも武器だが欲を言えばもう少し枠内に飛ぶ率が上がれば…というところ。

MF 平野 佑一(6)

大卒2年目組の一人。非常に攻撃的なボランチで、ロングフィードプレースキックと長くて正確なキックが持ち味。ただ徐々に守備はサボりがちなのが目についてしまい監督的にも使いづらい印象がついてしまった感はある。結果的にリスクを負って攻めたいときのカードという扱いに収まったがこのままだと色々厳しいのでどのポジションを今後やるにしても守備は練習して欲しいと思う。

MF 平塚 悠知(25)

大卒新人トリオその1。ただ他の二人に比べるとボランチは層が厚くそこまで出番は得られなかった。クローザーとして起用される機会が多く守備に奔走していたが攻撃面の評価はまだこれからだろうか。来年に期待したい。

MF 木村 祐志(10)

水戸で再起を期するベテランだが今年はいくつか怪我もあったものの年間を通して左SHとしてチームに貢献した。前からの守備の連動という部分で要になることに加え、攻撃面では抜群に他の選手との距離関係が良かった印象。おそらく経験の豊富さによるものと思うがオフザボールの動きが抜群に良い選手でフィールドを俯瞰して見られるタイプの選手である。反面肝心のキックの精度が年間通して上がりきらずもったいないなあと思うことが多々あった。プレースキックがもう少し抑えられればなあ。

MF 茂木 駿佑(27)

こちらもレンタル移籍から今年完全移籍。決意のシーズンとなったがシーズン中盤にチーム唯一といって良い数か月単位の大怪我。戻ってきてみると福満がそこに座っており厳しいシーズンとなった。とはいえ彼の連続ゴールやアシストは間違いなく前半の快進撃の立役者であった。ポジションに加えて彼自身の脅威が知れ渡っているためかどうにも深く削られる回数が多かったのが厳しかったと思う。そこを回避できるようになればさらに上に行けそうな選手。

MF 福満 隆貴(17)

負傷した茂木の穴を埋めるためにC大阪からレンタル移籍。すべてのカテゴリを見てきた経験豊富な選手で、茂木に比べるとシャドー的な動きもできるということで時には逆サイドまで走る機動力と高い足元の技術で後半チームの攻撃を引っ張った。来年はさすがに回収されそうな気はしているが戻った先でもまだまだこれから活躍してくれそうな選手だと思う。

MF 浅野 雄也(45)

大卒ルーキーその2。…と思っていたらなんとシーズン途中に広島からレンタル移籍してきた有望若手にランクアップ。完全移籍で引っこ抜いた後こちらにレンタルで戻してくれる広島には感謝しかない。左SHとして木村の運動量が落ちた後に出てくる役割だったが彼の突破力を考えれば適任と言えるだろう。監督は当初サイド奥深くからのクロスを期待していたようだが実際は斜め45度からドリブルで突っ込んでいくタイプだった。結果的に先発で出すには志知との関係性はあまりよろしくなかった印象がある。来年は広島でやるのだろうか、それともまたどこかにレンタルされるのだろうか?

MF 外山 凌(23)

MF登録ではあるが何故か今年の出番は全てSB。とはいえ後半戦苦しいところで疲労の色が強かった岸田や志知の代役として攻守に良い仕事をしてくれたと思う。ドリブルでの切り込みとそこからのクロスには定評がある選手なので来年は左SHで木村と出番を争って欲しいところだ。

MF 森 勇人(20)

主に右サイドを主戦場とするMFだが今年はなかなか層が厚くて入り込めなかった。数少ない出番では積極的にシュートを放って行ったが大体宇宙開発していた印象が強い。ごりごり自分で行くタイプではあるようなのでフォーメーション次第では生きそうだが来年どうなるだろうか。

MF レレウ(30)

湘南から夏のウインドークローズ間際にレンタル獲得したブラジル人。獲得した当初は去年のジエゴ枠と思われており、すわ志知引き抜きかとサポ一同色めき立ったものだがどうもそうではなく広島の浅野獲得合意であわてて取った気配が。結局その後浅野は広島がレンタル扱いで水戸に戻してくれたためレレウは木村が出場できない試合でかろうじてベンチ入り、出場時間も20分にとどまったのは若干申し訳なさがある。ただ短い時間でも積極的にゴールに迫る姿は見せていたのでどこかで長い時間見てみたかった。

MF 黒川 淳史(32)

一応登録はMFなのだが今年はほぼ年間を通じてFWに。目標として掲げていた年間2桁得点は果たせなかったものの7ゴール4アシストを上げ、それ以上に数字に表れない前からの守備という部分でチーム躍進の原動力となった。夏場以降少しコンディションを落とす場面もあったもののドリブル突破や清水のコンビネーションは素晴らしかったと思う。後最近意識高めな水戸フロントの施策に妙にハマっていたイメージがある。彼と清水は大宮からのレンタルだが来年はどの道を歩むのだろうか。

FW 清水 慎太郎(14)

黒川とともに大宮ツートップとして活躍。一時期苦しんだこともあったが最終的に復調しチームトップの、そして彼自身キャリアハイの8ゴールを上げてチームに貢献した。フィジカル面においての強さとうまさを兼ね備えており良い選手だった。できれば来年残って2桁得点を目指して欲しいところだがどうなるか。

FW 村田 航一(11)

大卒ルーキーその3。一年目でいきなり11番を背負った時点でチームの期待が伺える。限られた出場機会の中ではあるものの今年のうちに初ゴールを決められたのは本人にとっても大きいだろう。黒川に近い攻守において走力を発揮できる選手で、体を張った守備やポストプレイもできる選手である(小兵なイメージがあるが清水よりデカかったりする)。課題はGKと1対1のような場面でどれだけ落ち着きを出せるかだろうか。ぜひとも水戸でエースとして大成して欲しい。

FW ジョー(9)

今年はCF的な位置づけで期待されていたのだが…。練習試合ではそこそこ無双していたという話も聞くのだが試合ではオフェンスファールを繰り返しボールが清水より収まらず。浪漫枠に近い扱いで長谷部監督もギリギリまでベンチに入れていたのだがさすがに小川が入るとお役御免という形になってしまった。どうも彼も外国人選手の取り扱いあるあるなところの「デカいけど別にポストプレイとか得意じゃないしむしろ裏抜けしたところに足元でもらいたい」選手な気がするのだがコミュニケーションも時間も足りなかった気配があり、双方不幸な一年だった。

FW 小川 航基(19)

磐田からやってきたスタァスター。年代別とはい水戸では珍しい現役日本代表であり本当良く獲得できたなと思う。その得点能力はやはり素晴らしく後半の17試合で7得点。もっと長くプレーを見たかった選手だった。ただ、チームとしての彼の活かし方が100点だったとはいいがたく、彼自体はどちらかというとサイドからマイナス気味のクロスで欲しいところをひたすら縦ポンした結果点が入らなかった試合もあったのはチームの戦術デザインを反省するべきところだろう(ある意味ジョーに対するのと同じ過ちとも言える)。加えて今年は五輪前ということでやたら招集が多く、招集されると微妙に調子を落として戻ってくるためサポ的にはストレスがたまる展開であった。無論彼のキャリアパスを考えればそこは絶対に回避してはいけないところなのだが…。五輪が終わった後にじっくり一年通して使ってみたいよなあ。

番外 佐藤 祥

水戸ではないのだが何故か各種媒体のインタビューで毎回名前が出てくる好青年。どれだけ皆に慕われているのか…。今年群馬に移籍してボランチとして開眼。今年は自分の目の前でゴールを決めてくれたのが本当にうれしかった。これを書いている時点で群馬はJ3の2位。彼が再びJ2に戻ってくるのを心待ちにしている。という私情。

水戸ホーリーホック2019年の選手短評(GK、DF編)

リーグ2位の堅守は十分に誇れる成績

そんなわけでシーズンも終わったので今年の選手評とかを書いてみたいと思う。今回は守備編だが、チーム全体としてみれば柏に次ぎリーグ2位の37失点という堅守。実は今年はリーグを見渡しても1試合あたりの平均失点が0.台のチームが6チームあり、それらがいずれも7位以内にいる。非常にわかりやすくかつ珍しい守備が整ったチームが上位進出する一年だった。その中でこの成績は誇っても良いのではないだろうか。
個々に関しては後で書いていくが、今年の水戸は本当にセンターラインの守備が安定していた。一方でサイドバックは攻撃偏重のツケでカウンターから容易にクロスを上げられる場面が多かったと思う。特にアーリークロスからの飛び込みに弱いのはもはや水戸の伝統芸と化している部分もあるのだがその辺は来年以降改善できればさらに上に行ける気がする。長谷部監督はサイドバックに関しては最低限の守備能力があれば後は攻撃力を優先する傾向があったがその辺もどうなるか。
あ、ちなみに試合出場がなくて全く情報が得られなかった選手は申し訳ないけど割愛しています…。

GK 松井 謙弥(50)

水戸の守護神として多くの試合を支えた。セービング、飛び出し、クロスへの対応などバランスが良く、特にキックはJ1でも通用する精度を誇る。ハイバランスで自分好みな選手だが今年は最終的にチーム全体の守備としてクロス対応がウィークポイントとなり、対応の重要度が高くなったためその部分で上回る村上に取って代わられる場面もあった。セービングは概ね良かったのだがパンチとキャッチの選択に迷ってファンブルする場面がちょくちょくあったのも今年は不安要素だった。後最終節ATの判断ミスは精神的ダメージが大きそうで少し心配している。

GK 村上 昌謙(21)

終盤、生き残りをかけた首位柏戦に抜擢された新守護神。それまでのうっ憤を晴らすかのように大活躍して上位進出に貢献。キックは不安があるものの飛び出しの判断、ハイボール処理が抜群に良く、前述の通りチームの穴を埋めた。お笑い要員の一人でもありムードメーカーとしての貢献度も高い。試合に出られなくてもベンチで味方を鼓舞する姿は非常に熱かった。山口からのレンタルで買い取りしてほしい気持ちもあるけど来年石井も戻ってくるんだよなあ。

GK 本間 幸司(1)

ミスターホーリーホックも今年はさすがにほぼベンチ入りすら無し。正直もうJ2でやるにも厳しい感じではあるのだがやはり長老として、水戸の昔を知る語り部としてこの人の存在は必要だと思う。ぶっちゃけこの人がベンチ入りする状況自体スクランブルだと思うので若手は頑張って彼をベンチ入りさせないようにして欲しい。

GK 長谷川 凌(31)

期待の大型若手GKにして大洗に入り浸るガルパンお兄さん。今年は沼津に短期留学してラブライブお兄さんになった。ただ肝心の試合出場機会はなし。来年も村上か石井がいて3番手以下になるようならどこかで武者修行した方がよいかもしれない。どうも水戸は自前のGKが育たない傾向があるのが厳しい。意外と本間の壁が厚い。

DF 細川 淳矢(24)

気が付けば本間に次ぐ古株になっていた細川キャプテン。年齢がそろそろネックになるかと思われたが、元々去年の長谷部体制開始時最も早くフィットしたと言われるだけのことはありほぼ盤石のCBファーストチョイスだった。守備の安定度はもちろんセットプレーからの攻撃時にも怖さを見せていたと思う。

DF 伊藤 槙人(5)

細川と並んで長谷部体制で覚醒したCB。細川が怪我で2回ほど離脱した前半戦を安定して戦えたのは彼の力が如何に大きかったかを示している。結果的に横浜FMに引っこ抜かれて夏の市場での唯一の離脱者となった。彼のお買い上げ金額はかなり高かったようで、小川や福満、宮といったJ1の選手のレンタルに加えてチーム経営を安定させたほどだったという話もあるため一概に悪くは言えないのだが、何分彼がいなくなった後の守備構築の苦労を見ているとやっぱり離脱は痛かったと言わざるを得ない。間違いなく長谷部チルドレン随一の成長株であった。

DF ンドカ ボニフェイス(4)

細川が負傷で出遅れたためCBとして先発の座を手に入れてスタートした大卒二年目のシーズンは毀誉褒貶の激しい年となってしまった。ハイボール縦ポン対策としては間違いなくリーグでも上位の強さを誇るのだがスピードでの裏抜けには弱さを露呈。経験値からくる先読みみたいなものがどうしても不足している面もあり、短期間に赤紙2枚をもらって厳しい立場に。最終的には負傷で早めのシーズン終了となってしまった。来年は心機一転して頑張って欲しいのだがまずはJ3で一年間出られるところへレンタルで行って修行してくるのも手かもしれない。GKとCBは経験値稼ぎが大事。

DF 瀧澤 修平(22)

ボニがアウトとなった後CBで出番をつかみ、なんだかんだで出場機会が増えた。突出したものはないが安定性の高さはピカイチでもっと早く使われても良かった気がする選手。逆にそれ以外特筆すべき部分もあまりないがそういう選手の方が安心して見られる感はある。攻撃時のプレースキックで全く名前が出てこないのが課題と思っていたら最終節でFKから嬉しい初ゴール。試合後のインタビューの号泣はサポーターの心に響いた。来年は先発定着してこの悔しさを晴らして欲しい。

DF 宮 大樹(38)

槙人の後釜として神戸からレンタル移籍で獲得してきたCB。あちらこちらから「やらかし癖あり」という注意書き付きで送られてきたため色々心配だったがなんだかんだJ2では普通にきっちりやれるレベルではあった。ただ現状これでJ1に帰っても出番ないだろうなあという部分もある。彼もやっぱりまずは経験値稼ぎからだろうか。足元の使い方とかを見ているとそもそも4バックの2CBが向いていなくて実は3バックの左かリベロ向きなんじゃないかと思うのでどこかのチームで試してみて欲しい気はしている。

DF 宮本 拓弥(15)

シーズン前にあまり名前聞かないなあと思っていたらまさかのFWからCBへ転向でサポ一同をびっくりさせた。リーグ戦こそ出番がなかったが天皇杯には出場し怪我やカードトラブルで穴が開きがちな部分は最低限埋めてくれたと言って良いだろう。来季は宮本ロマン砲をまたリーグ戦で見たいものだ。

DF 岸田 翔平(13)

右SBのファーストチョイスとして活躍した。攻撃力はそこそこあるが去年の田向や左の志知と比べると…という感じに加えて前述のクロス簡単に上げられすぎ問題もあり外山や浜崎に取って代わられることが多かったのが惜しまれる。守備に関しては特にセットプレーでの対応に関しては安定して体を張れていた印象がある。だから猶更サイドを上がってくる相手に寄せきれない部分がもったいなく思えてしまうのだが。

DF 志知 孝明(7)

左SBとして躍動。今年の出世頭と言って良いだろう。終盤3試合こそ勤続疲労か休みとなってしまったが全体で見ても特に長い稼働時間でチームを支えた。守備に関しては最低限のノルマではあったがこなせていたし致命的なクロスを上げさせなかったりギリギリのブロックも何度も見られた。そして攻撃面では文字通りチームを引っ張る5ゴール5アシスト。クロスボールはもちろんだがFKのキッカーとしても結果を出したのは見事としかいう他ない。今年のチームMVP候補。課題を上げるとすれば左SHが木村以外の選手の時やボランチとのラインが切られた時の連携の選択肢を増やすことだろうか。でもそもそも来年うちにいるんだろうか…。

DF 浜崎 拓磨(3)

期待されながらも「守備があまりよくない」という理由でなかなか使われなかったが終盤天王山となる柏戦で起用されると直接FKをスーパーゴラッソ。その後は完全に攻撃力を期待されて右サイドで起用されることになった。攻撃力に関しては志知同様高いものを持ち、特にプレースキックでは茂木と並んでチーム随一の精度を誇る。正直なんでDF登録なのか理解に苦しむのだが前は茂木も福満も(後最悪黒川も)いるので致し方ないか。来年は守備力の向上を目指さないと監督人事次第では使われなくなる可能性もありそうなので頑張って欲しいところ。

水戸ホーリーホックは1ゴールに泣く。ジェットコースターのような1年を終えて

ホーム最終戦、遠かった1ゴール

小雨の中1万人達成とプレーオフ進出を目指した最終戦。結果は1-0で勝利したものの他会場の結果により6位山形とは同勝ち点同得失点差ながら総得点数で下回り7位でフィニッシュ。無念な結果となった。とはいえ勝ち点70という数字は水戸25年の歴史の中でもぶっちぎりに良い数字である。前回の記事にもあるが水戸はJ2に落ちてきたチームではない。歩みは遅いがここまで登ってきたチームなので後悔はしても失望する必要はないと思っている。ここまでチームを支えてきた方々へ感謝したい。
試合後のインタビューで決勝ゴール(しかも移籍後初)を決めた瀧澤の涙、それに対するDAZN解説の方の「水戸は悔し涙を流すことができるステージまで上がってきた」という言葉が印象的であった。

真のプロのチームへ変わるための2年間

沼田社長のあちこちでの発言を聞くと、この2年間は概ねこう総括できると思う。そして去年はどちらかというと裏で準備を進めてきたものが意図するしないにかかわらず今年一気に表に出ることになった。クラブハウス「アツマーレ」の完成から始まり、残業代未払い&パワハラ問題の発覚(あちこちで良くネタにされているが改めて書いておくがどちらも既に解決済みのものが外部に出たものだ。パワハラの処分に関しては水戸サポ内でも軽すぎるという批判は未だにあるが)というネガティブな話題。そこからリーグ首位への快進撃を経てついに念願のユニフォーム背中サポーターの獲得。そして最終戦2日前には驚きの専用スタジアム構想発表があった。本当にジェットコースターのような1年だったと思う。

来季へ向けて

現在既にこの2年間水戸のサッカーを作り上げてきた長谷部監督の退任報道が持ち上がっている。長谷部監督はサッカーとしての結果だけではなく集客面にも度々コメントしており、1万人でGO J1というキャッチフレーズを作り上げた張本人である。最後のホーム2戦、愛媛戦はわずかに数十人1万人に足りず、最終の岡山戦は天候にも祟られ8500台となってしまった(発券数自体は11000行っていたとのこと)。沼田社長や長谷部監督が最後の挨拶で触れていた通りこの件は今後とも宿題として継続していくべきものである。長崎あたりが良いお手本となるだろう。
そしてまた水戸には厳しいいつものストーブリーグとなるが、西村GMのもと戦術面での継続性を求めて監督人事や選手の確保などを進めて欲しいものだ。沼田社長は「仕切り直し」と仰っていたが気分はともかくサッカー自体に関しては水戸は今はコンセプトを持ってそれをベースに監督人事から進めてきている以上、この2年やってきたことを無に帰すことだけはしてほしくないものだ。そして来年はさらに上を目指すことを期待したい。

水戸、鹿児島で痛い敗戦。来年への宿題、今年やっておかなければならない宿題

残り2節で迎えた鹿児島アウェー戦

というわけで水戸ホーリーホックの鹿児島アウェー戦を現地で見てきたが0-1で悔しい敗戦となった。今季は後半戦に入り「絶対に負けられない」相手に対するアウェー戦で勝ちきれない試合が多かったが、今回も「サバイバル」を掲げJ2残留へ崖っぷちで戦う鹿児島を崩しきれなかった。これで自力プレーオフは消滅となり最終戦は勝利しても甲府または京都が勝った時点でプレーオフ進出は果たせなくなる。

2試合続けてコイントスで逆光側を取られ…

敗因の一つとしてはこれがあげられるだろう。正直コイントスなのでどうにもならないのだが、その中で今回はCKで失点してしまった。後半には影が伸びてこの問題は解消されていたので鹿児島は見事にホームの利を活かしたことになる。
この影響下はわからないが特に前半宮が非常に不安定で、何度か危ない場面を迎えていた。失点のきっかけとなったのもDFのクリアミスからだったので少なからず影響はあったのではないだろうか。

攻撃面に来季への課題アリ

一方で攻撃は何度も鹿児島ゴールを脅かすも決めきれず。ただ、本当に危険な場面は作り出せなかったように思える。水戸の試合で悪い時は大体サイドの攻撃が奥まで踏み込めない、あるいはボランチを介したボール回しができず縦ポンになるのだが今回はどちらかというと前者の傾向が大きかった。サイド攻撃は水戸の今年の代名詞であるのだが反面対応された時の選択肢は大きな課題となるだろう。特に今日は木村がボールを保持する機会が少なく、サイドから攻めこめる機会が少なかった。中央でも優位に進められているとは言えず、結果的に水戸の武器であるCKは1回しか得られなかったのが痛かったと思う。FKも良い位置ではほとんどもらえなかったはずだ。後半早々に木村を黒川とポジションを入れ替え、その後黒川→浅野、木村→茂木(この時点で福満がトップ下へ)、茂木→村田と立て続けに交代策を打った長谷部監督だが小川不在の状況で前半戦にも課題だった追い込まれた状況でのアイデア不足が垣間見えることとなった。

水戸に必要なのはピッチ内で鼓舞する選手だ

今シーズンに限らず水戸は性質上非常に若いチームであることが多い。だからこそリードされると焦りが出てしまうことが多いように見受けられる。ベテランというと木村と細川になるが、この二人もどちらかというと声で鼓舞するタイプではないようだ。今のチームでは闘莉王のようなタイプの闘将が必要なのではないだろうか。本当に苦しい時こそ自分たちのサッカーをしてほしい。特に今年はその気になれば遅攻から崩せる選手が多いので焦った時こそ縦ポンに頼らずサイドから組み立てるべきだと思う。細川と木村にはそういう部分でのコミュニケーションも期待したいところだ。決定力をどうするかという話はあるが…。

最後の決戦、ホーム1万人で勝利を

Kスタに1万人のサポーターを集めてその前で勝利を。この言葉は元々長谷部監督が去年試合後のインタビューで発したものだ。今年になってクラブ側も本気でこの言葉を実現するべく様々な試みをしてきた。愛媛戦では惜しくも実現できなかったが、最終節ではなんとか実現したいものだ。経緯を考えれば間違いなくそれが最大の長谷部監督への残留交渉となるはずだ。

余談

鹿児島自体は以前に来たことがあったが、今回は前回と比べると桜島がずいぶん活発に活動しており度々新しい噴煙が上がっていたのが印象的だった。灰の量も明らかに多く、スタジアムの席にはスタッフが用意したのかウェットティッシュが用意されていた。というかそこらへんの屋外のベンチに座るにもウェットティッシュは必須だった印象。鹿児島サポの方も親切で何度かスタグル列に並んでいるときに声をかけていただいた。本当に良い雰囲気のスタジアムだと思う。後マスコットのゆないくーかわいい。ゆないくーは来年もマスコット総選挙があれば間違いなく伸びる有望株なので皆応援しよう(自分のところは?)
試合後のバス停で年配の水戸サポの方とお話していたのだが「プレーオフ争いなんて信じられないし勝ち点70に手が届きそうなんて夢みたい」という言葉が印象的であった。水戸はJ2に「落ちてきた」チームではなく25年かけて「上ってきた」チームだと改めて実感したし、今年の結果はどうあれ来年また皆で更に上を目指せるといいと思う。

サッカー日本代表アウェー連戦に思う、久保建英の活路

苦しみながら快勝したアウェー連戦

モンゴル、タジキスタン戦は苦しみながらも最終的なスコアは6-0、3-0と事実上の解消となった。その中で目を引いたのはこれまでチャンスをあたえられてきた久保建英の出番がわずか4分しかなかったことである。一切テスト要素なしの本気マッチにおいて見えてきた彼の立ち位置を考察してみたい。

現在の日本代表チームの守備戦術

森保監督は一時期3バックを試してはいたが、最終的に4バックを使う決断をした。その結果現在はスタンダードな4-2-3-1フォーメーションが採用されている。攻撃面はひとまず置いておいて守備について考えると、このフォーメーションでの前からの守備は基本的にボールをサイドに追いやって守るのが基本となる。前からプレスをかける場合でもそうでない場合でもほぼ能動的にサイドにボールを散らさせるかどうかの違いと考えて良いだろう。トップ下は前からプレスをかけるかボランチに蓋をするかして何にしろサイドにボールを誘導し、サイドハーフがそれに対して連動してプレッシャーをかけに行く。森保ジャパンもそのあたりは基本に忠実である。また、このフォーメーションでのサイドハーフは位置的に敵陣でディフレクションしたボールの回収や相手にそれを奪取されたときのファーストディフェンスを行う機会も多い。

良くも悪くも似た傾向を持つ二人の「FC東京産」サイドハーフ

中島翔哉久保建英。二人はどちらもFC東京に在籍経験があり、左右の違いはあれどどちらも似た傾向を持っている。プレースキックの名手であったりドリブルで打開する力を持っていたり、決定的なパスを出したりという攻撃面の一方で守備に関しては「リスクあり」と認識されているのが共通の大きな特徴である。中島はこれが原因でチームで監督に怒られているし、久保もテストマッチの時点で森保監督からこの点を指摘されている。無論あのクラスの選手であるので足元の範囲にボールが来た時のインターセプトは普通にできるのだが、対人守備ではあっさり交わされることが多いし、ハイボールは全く競ることができない。

チームとしてどこまで守備のリスクを許容するのか

これは監督が上記のような選手を使う時に考える悩ましい問題だと思う。FC東京において久保の守備が許容されていたのはひとえに「最終ラインまでボールを引き込んでから奪ってカウンターする」という健太流ファストブレイク戦術がベースのためで、サイドハーフはとりあえずプレッシャーをかけられれば最低限の仕事はできている感はあった。もともと森保ジャパンには先に中島がおり、ある意味すでに左サイドにリスクを抱えている状態であった。そこでさらに右サイドに同じリスクを抱えるかというと難しいところである。堂安も最初は同じようなリスクを抱えていたが以前より改善されていることや伊東の調子が良いことも考えると右サイドでの久保の立場は厳しい。

トップ下に君臨する南野

ではトップ下はどうかと言われると、こちらも現在南野が非常に調子を上げてきている。彼の特徴はタジキスタン戦で見せた通り「トップとの縦のポジションチェンジ」で、大迫、永井、鎌田のいずれとも非常に良い関係を築きながらゴールを量産している。この動きはいわゆるトップ下では偽10番的な横のポジション移動を得意とする久保とは対照的だ。今の日本代表では久保が偽10番として動いたときに代わりにエリア内に侵入して勝負してくれる選手が少ないことも彼をトップ下で使う際の大きなネックとなっている。

現代サッカーで守備が免除される選手は世界でも数人しかいない

結局これを我々にJリーグで見せつけてくれたのが他でもないイニエスタである。チームスタイル的にスペインでそこまで守備をしている印象はないが、実際にJリーグで彼が見せた守備能力は明らかにトップクラスのそれであった。バルサやレアルのアタッカーが代表で苦しむのはその辺のスタイルのギャップもあるだろう。そうである以上久保もそうならないために守備能力は向上させなければならない。スペインに戻ってしばらくして、彼は一回り肉体的に大きくなったように見えるのでマジョルカでしっかり成長して欲しいところである。

現状で久保を使うなら?

これは個人的な意見になるがここまで書いてきたことを踏まえてなお久保を使うのであればやはり中島を外すのが前提となると思っている。現状中島自身のパフォーマンスや周りの連動性がイマイチなこともあり、原口に替えて左の守備面のリスクを軽減することができれば右で久保を使う余裕もできるのではないか。ただしそれをするには久保は改めて中島以上に攻撃の実績を見せる必要がある。現在まだ彼はチームでも代表でも「具体的な数字」を実績として見せられていないのが最大の問題だ。その点を考えても一日も早くチームでのゴールが見たいところだ。

オンゲキイベントの走り方(Ver. Summer)

前回バージョンはこちら。ランキングイベントの基本は変わっていないのでこちらを見て欲しい。
ghb.hatenablog.com

Ver. Summerでの大きな変更点

オンゲキも無事最初の大きなメジャーバージョンアップを迎えた(余談だが所謂セガチュウマイチームのタイトルは半年ごとに0.5バージョンが上がり1年でメジャーバージョンアップ=タイトルに何か言葉が増える)。
イベントに関してもいくつか変更があるが、最大の変化は複数のイベントが同時に走るようになったことだろう。チュウニズムでは最初は2つからボチボチという形だったのだがオンゲキではいきなり復刻も含めて3本、4本と同時にイベントが走るようになってしまった。なおランキングイベントは現在は実施されるのは1つだけとなる。ランキングイベントの有無はイベント告知時に必ず言及があるので公式サイトはチェックしておこう。
ランキングイベントがないイベントは基本ジュエルを集めてカード等の交換がメインとなる。リソース的に全イベントをこなすのはよほどの暇人でない限り不可能に近いので自分がやりたいコンテンツに絞ってやることになる。複数同時に来てしまうと大変だが…。
もう一つの大きな変更点はイベント課題曲と課題曲ジュエルボーナスの事実上撤廃。ジュエルボーナスは撤廃と言っているが逆に全曲クリア時にジュエルボーナスが付くようになっているので上方修正と言って良いだろう。課題曲もなくなって選曲時はイベント曲タブに入るようになった。

ランキングイベントを実施するイベントについての変更点

主な変更点は上記のジュエルボーナスだがそれ以外にもちょくちょく報酬に手が入っており、最近ではガチャプリントで入手したカード用のSSR限界突破チケットが入るようになった。とても貴重なものなので奏坂組を育てているなら狙っておきたい。ただ必要ポイント自体はそこまで高くないものの興味ないコラボイベントを走らせるのは正直やめて欲しいところではある。

ランキングイベントを実施しないイベントについての変更点

前述の通りひたすら曲をプレイしてジュエルを集めることになる。それとは別にログインボーナスがあるが、今回のバージョンから色々開き直ったのか3Dモデル共用で絵柄だけ別キャラのカードが大量にログインボーナスに突っ込まれるようになった。ログインボーナスは大体10日あるが9日目までキャラカードが入っていたりすると開催期間的に土日だけでは回りきらなくなるので目当てのカードがある場合は確認しておきたい。また、ログインボーナスで入手できるカードは1枚のみのため、超開花しようとするとジュエル交換対象のSR限界突破チケットが必要になる。当然全カード超開花というのは現実的ではないので財布&時間と良く相談してどこまで狙うかを検討しておくこと。おそらくログインボーナスは復刻されることはないのでその点も注意。

その他細かい(けど重要な)変更点

ログインボーナスに育成アイテムや開花チケットなどいくつかの新アイテムが追加された。特に後者は使うと開花できる(=カードプリントする必要がない)ためダイレクトに100円浮く優れものである。

余談

彩華のSSR2枚目まだー!?

コパ・アメリカにおける日本代表と水戸ホーリーホックの類似性

水戸と同じフォーメーションを持つ代表チームが世界レベルに挑む

今回のコパ・アメリカにおける日本代表はここまで2戦とも4-4-2(実質4-4-1-1)を使用している。特に1戦目のチリ戦に顕著だが見た瞬間の感想が「あ、これ水戸と同じだ」だった。
実際水戸も同様の4-4-1-1を使用しており、推進力のあるサイドバックと高さよりはスピードを重視した攻撃陣をそろえている。戦術面においても特にチリ戦では前からプレスではめにいく手順が非常に水戸と類似していること、サイドからの崩しと各種カウンターを併用する攻撃スタイルなど多くの類似点が見られた。結果チリには0-4で粉砕されたわけだが、失点の再現性などそういった部分でもあ、これ水戸じゃんと思う場面が多々あり興味深い展開となった。

水戸と代表の大きな違いはトップ下と右サイドの選択

長谷部監督は今年になってトップ下に黒川を右サイドからコンバートしており(本人の希望によるものだが)、右サイドにはパサータイプの茂木が入っている。黒川はシャドー適正の高さに加えて前からの守備で貢献度の高さが強みの選手である。一方代表はパサータイプの久保をトップ下に置き守備の強さと速さのある前田を右サイドに置いた。個人的にはここは逆でも良かったのではないかと思う。理由としては前田が松本でもその前の水戸でもトップ下でやる機会が多かったこと、久保と中島の距離が近い弊害があげられる。後者については2戦目で多少改善したものの中島の球離れが極端に悪く、久保の良さが半減していたと思う。本田香川問題と同様に久保中島問題は長らく付き合わなければいけない問題であり、堂安との兼ね合いはあるものの久保は右サイドで使うのが良いのではないかと思う。

再現性のある守備の弱点、両サイドの個の力への対応

これに関しては4-4-2である程度前からプレスに行く場合仕方がないともいえるのだが、プレスを外された後サイドチェンジ気味にボランチ定位置の脇あたりを使われると一気にバイタル近くまで運ばれてしまう。また奪われてショートカウンター気味になるとサイドバックが対応できずサイド深くからフリーでクロスを上げられてヘッドで決められてしまう。水戸の今季の失点パターンである。チリにもウルグアイにも特に杉岡のところは明確に弱点として突かれ無数のクロスを上げられる結果になった。この点は修正する必要があるが杉岡の魅力は攻撃力なので悩ましいところだ。そもそも軽率な失い方をしなければ後者は防げる話ではあるのだが…。前者は様々な対策があるが、サイドに追い込んだ後もう一手増やした後ボランチとのルートを切るというのは大事なことだと思う。それでも逆サイドに大きく蹴られるところはラインコントロールも必要になってくるだろう。サイドバックボランチは上下動が激しくなるが…。

ボランチを抑えられた上でハイプレスをかけられたチリ戦

もう一点チリ戦で苦しかったのがこのチリの守備だ。ボランチのところが完全に蓋をされた上にCBに高い位置でプレスをかけられた。結局日本はサイドから打開せざるを得なかったが中島が強引にドリブルで行って奪われる場面が続発した。森保監督になってからのボランチの他の選手との距離感があまりよくないように見えるのは気になるところだ。

インテンシティというのは簡単だけど

「攻守にわたってインテンシティを」。水戸ではJ2でそれを言い続けてある程度結果を出してきた。ただ今回のコパ・アメリカで見ていて思ったのは格上相手では相手が自分より高いインテンシティを持っているのは当たり前のことだ。その中で一つの戦術を貫き通すのがナンセンスなのは今年のJ2を見ていてもわかる通りで、苦しんでいるチームは大体理想の戦術にこだわった結果と言える。水戸に関しては特に攻撃面で非常に柔軟なため結果が出せていると言える(それでも得点数は物足りないのは事実だが)。攻撃の選択肢というのはいくら持っていても構わない。そういう意味でチリ戦で中島が自らの突破のみにこだわって道を自分から閉ざしたのは残念だった。また、ゲームの入りでゲームスピードの違いに面食らった選手も多いだろうがそこは今後に向けて良い勉強になったのではないだろうか。

水戸はコパ・アメリカの代表戦に学べ

今大会は結果として4-4-1-1という日本のクラシックスタイルの限界点が試される試合となったと思う。はたから見ていても同じフォーメーションを使う以上教訓は非常に大きかったと思う。ハイプレスはもちろん水戸の一つの核ではあるがスイッチを入れる判断や相手に精度の高いキックを許さない追い込み方などはまだまだレベルアップの余地があるのではないだろうか。特にJ1を目指す上で格上のチーム、自分たちよりインテンシティを持つチームとどう戦うか。今後の水戸の試合でその答えを見せてくれることを期待したい。