ストライクウィッチーズ劇場版

もともとは2003年に始動した角川の戦闘機擬人化プロジェクトでコンプエース創刊の際の漫画化が2005年。その後何度かの黒歴史を乗り越え2度のアニメ化、そして今回の劇場映画化。思えば遠くへ来たものだ。
上述の通り大元にあるのは「第二次世界大戦の戦闘機(戦車)を女の子に擬人化したらどうなるか」ってのがベースだけど、そこに濃厚な世界観設定を付け加えることで今なお世界が広がり続けているシリーズです。
設定マニアにはたまらないというか。たとえばこの世界では1940年代になってまだイタリアが統一されていないんですが、その理由を考察するだけでも楽しかったり。
今回の映画は2度のアニメの続編という位置づけ。加えてアニメでは出ず今まで各種設定のみだったキャラがバンバン出るので完全にファン向けという感じ。
ネタバレ抜きの感想としては、とにかくアニメでは納期の関係上無理だったと言われるヨーロッパの美しい背景の元での地上戦(ヴェネチアでのドッグファイトは本当に素晴らしかった)、ミリへの拘り、そして何より音響がよかったですね。もともと機銃の発砲音やレシプロのプロペラ音はスタッフに拘りがあり、実機からサンプルできるものはサンプルしているという話だったのですが劇場ではテレビと全く迫力が違う。良い物を見せて頂きました。
ストーリーはわりとシンプル。とにかく戦闘シーンが多いので満足です。ただ、細かい設定に拘っているからこそ1945年時の欧州戦線の状況はもう少し解説して欲しかったかなあと。502の面々も出てきましたけど彼らがどんな過酷な環境に基地を置いているかとかは初見の人間にはわかりづらいと思うので。
とりあえずネタバレは余所に書いたので短めに。基本的には2時間かけてアニメ3期の予告編をやりきったなあと。主人公の芳佳もとうとう少尉になって静夏という後輩ができた。そして芳佳の師匠である坂本はもうストライカーユニットでは飛べないしミーナも近いうちに戦闘には出られなくなる。そういった部分を3期でどう描くのかは非常に楽しみな部分です。高村監督はあんまり乗り気じゃなさそうなのが気になるところではありますが。その辺もあってか今回の芳佳はいつもにもまして熱血バカ一代な主人公だった気がします。
501の面子は良くも悪くもいつも通り。他だと準レギュラー系の扱いだった「夜戦人類最強」ハイデマリーと短時間で持ちネタを出し切った「ついてないカタヤイネン」ことニパが優遇されていたかなーと。ニパの「エイラ」よびはディープなファンからは色々言われてますが…。