蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza

テレビアニメ、総集編+新作のDCを経て公開された完結編。今までの集大成としてやりたいことを全て詰め込んだ上で、王道中の王道ストーリーを以てアニメシリーズ「アルス・ノヴァ」をちゃんと終わらせたことについて大いに評価したい。若干駆け足だったきらいもあるが2本にするには…と思ったがそもそもDCの総集編パート無しで2本ならちょうどよかった気もするなあ。
とにかく少年漫画のノリで超兵器バトルをバカスカやってくれるの見ていて気持ちがいい。基本的にフルCGの作品だけど見ていてほとんどそう感じさせないサンジゲンの技術力は本当にすごい。
また、特筆したいのは漫画原作から随分ストーリーが離れてしまった現在でも積極的に原作のネタを取り込んでレスペクトを見せてくれたのは原作ファンとしてもうれしいところ。その一方で結末については出来すぎていて今後の原作展開のネタ潰しなんじゃないかと若干心配になったりも。
以下ネタバレ込み。
ミョウコウ四姉妹はそれぞれに原作の要素を拡張したような特殊機能をつけられており、特に原作で不遇だったアシガラとハグロは大幅に救済されていると言える。もっとも原作のあの二人は轟沈されてもむしろ美味しいポジションになったとも言えるのだが…。ビームアンカーやビームサーベルをカタパルトの先につけてぶん回すアシガラや100ノット超えてそうな速度で動き回りジャックナイフを決めるハグロは絵が頭悪すぎて本当面白い。間違いなく今回の最大の見どころと言える。その反面ヒエイは若干地味だったなあ。
もう一つ個人的に良かったと思うのがコンゴウがイオナの背を押す場面。コンゴウの言い方は意訳すれば「お前が死んでも私たちは覚えているから死は無駄ではない」でコンゴウらしい結構ひねた言い方ではあるのだが、アニメ版序盤ではイオナが死と葬送の意味を理解していなかったことを考えるとこのやり取りは非常に重いと思う。コンゴウはマヤ、イオナは400と402を失っているがそのストーリー的な意味付けをここで生かしてくるとは思わなかった。エンドロールのムサシの墓標、そしてラストシーンの件の墓地が象徴的で、彼女たちは死を乗り越えることでメンタルモデルではなく人間として成長していっているのだなあと。ムサシは乗り越えられなくてあんなことになってしまったが。ある意味この辺がこの作品の裏のテーマなのかもしれない。