水戸ホーリーホック2019年の選手短評(GK、DF編)

リーグ2位の堅守は十分に誇れる成績

そんなわけでシーズンも終わったので今年の選手評とかを書いてみたいと思う。今回は守備編だが、チーム全体としてみれば柏に次ぎリーグ2位の37失点という堅守。実は今年はリーグを見渡しても1試合あたりの平均失点が0.台のチームが6チームあり、それらがいずれも7位以内にいる。非常にわかりやすくかつ珍しい守備が整ったチームが上位進出する一年だった。その中でこの成績は誇っても良いのではないだろうか。
個々に関しては後で書いていくが、今年の水戸は本当にセンターラインの守備が安定していた。一方でサイドバックは攻撃偏重のツケでカウンターから容易にクロスを上げられる場面が多かったと思う。特にアーリークロスからの飛び込みに弱いのはもはや水戸の伝統芸と化している部分もあるのだがその辺は来年以降改善できればさらに上に行ける気がする。長谷部監督はサイドバックに関しては最低限の守備能力があれば後は攻撃力を優先する傾向があったがその辺もどうなるか。
あ、ちなみに試合出場がなくて全く情報が得られなかった選手は申し訳ないけど割愛しています…。

GK 松井 謙弥(50)

水戸の守護神として多くの試合を支えた。セービング、飛び出し、クロスへの対応などバランスが良く、特にキックはJ1でも通用する精度を誇る。ハイバランスで自分好みな選手だが今年は最終的にチーム全体の守備としてクロス対応がウィークポイントとなり、対応の重要度が高くなったためその部分で上回る村上に取って代わられる場面もあった。セービングは概ね良かったのだがパンチとキャッチの選択に迷ってファンブルする場面がちょくちょくあったのも今年は不安要素だった。後最終節ATの判断ミスは精神的ダメージが大きそうで少し心配している。

GK 村上 昌謙(21)

終盤、生き残りをかけた首位柏戦に抜擢された新守護神。それまでのうっ憤を晴らすかのように大活躍して上位進出に貢献。キックは不安があるものの飛び出しの判断、ハイボール処理が抜群に良く、前述の通りチームの穴を埋めた。お笑い要員の一人でもありムードメーカーとしての貢献度も高い。試合に出られなくてもベンチで味方を鼓舞する姿は非常に熱かった。山口からのレンタルで買い取りしてほしい気持ちもあるけど来年石井も戻ってくるんだよなあ。

GK 本間 幸司(1)

ミスターホーリーホックも今年はさすがにほぼベンチ入りすら無し。正直もうJ2でやるにも厳しい感じではあるのだがやはり長老として、水戸の昔を知る語り部としてこの人の存在は必要だと思う。ぶっちゃけこの人がベンチ入りする状況自体スクランブルだと思うので若手は頑張って彼をベンチ入りさせないようにして欲しい。

GK 長谷川 凌(31)

期待の大型若手GKにして大洗に入り浸るガルパンお兄さん。今年は沼津に短期留学してラブライブお兄さんになった。ただ肝心の試合出場機会はなし。来年も村上か石井がいて3番手以下になるようならどこかで武者修行した方がよいかもしれない。どうも水戸は自前のGKが育たない傾向があるのが厳しい。意外と本間の壁が厚い。

DF 細川 淳矢(24)

気が付けば本間に次ぐ古株になっていた細川キャプテン。年齢がそろそろネックになるかと思われたが、元々去年の長谷部体制開始時最も早くフィットしたと言われるだけのことはありほぼ盤石のCBファーストチョイスだった。守備の安定度はもちろんセットプレーからの攻撃時にも怖さを見せていたと思う。

DF 伊藤 槙人(5)

細川と並んで長谷部体制で覚醒したCB。細川が怪我で2回ほど離脱した前半戦を安定して戦えたのは彼の力が如何に大きかったかを示している。結果的に横浜FMに引っこ抜かれて夏の市場での唯一の離脱者となった。彼のお買い上げ金額はかなり高かったようで、小川や福満、宮といったJ1の選手のレンタルに加えてチーム経営を安定させたほどだったという話もあるため一概に悪くは言えないのだが、何分彼がいなくなった後の守備構築の苦労を見ているとやっぱり離脱は痛かったと言わざるを得ない。間違いなく長谷部チルドレン随一の成長株であった。

DF ンドカ ボニフェイス(4)

細川が負傷で出遅れたためCBとして先発の座を手に入れてスタートした大卒二年目のシーズンは毀誉褒貶の激しい年となってしまった。ハイボール縦ポン対策としては間違いなくリーグでも上位の強さを誇るのだがスピードでの裏抜けには弱さを露呈。経験値からくる先読みみたいなものがどうしても不足している面もあり、短期間に赤紙2枚をもらって厳しい立場に。最終的には負傷で早めのシーズン終了となってしまった。来年は心機一転して頑張って欲しいのだがまずはJ3で一年間出られるところへレンタルで行って修行してくるのも手かもしれない。GKとCBは経験値稼ぎが大事。

DF 瀧澤 修平(22)

ボニがアウトとなった後CBで出番をつかみ、なんだかんだで出場機会が増えた。突出したものはないが安定性の高さはピカイチでもっと早く使われても良かった気がする選手。逆にそれ以外特筆すべき部分もあまりないがそういう選手の方が安心して見られる感はある。攻撃時のプレースキックで全く名前が出てこないのが課題と思っていたら最終節でFKから嬉しい初ゴール。試合後のインタビューの号泣はサポーターの心に響いた。来年は先発定着してこの悔しさを晴らして欲しい。

DF 宮 大樹(38)

槙人の後釜として神戸からレンタル移籍で獲得してきたCB。あちらこちらから「やらかし癖あり」という注意書き付きで送られてきたため色々心配だったがなんだかんだJ2では普通にきっちりやれるレベルではあった。ただ現状これでJ1に帰っても出番ないだろうなあという部分もある。彼もやっぱりまずは経験値稼ぎからだろうか。足元の使い方とかを見ているとそもそも4バックの2CBが向いていなくて実は3バックの左かリベロ向きなんじゃないかと思うのでどこかのチームで試してみて欲しい気はしている。

DF 宮本 拓弥(15)

シーズン前にあまり名前聞かないなあと思っていたらまさかのFWからCBへ転向でサポ一同をびっくりさせた。リーグ戦こそ出番がなかったが天皇杯には出場し怪我やカードトラブルで穴が開きがちな部分は最低限埋めてくれたと言って良いだろう。来季は宮本ロマン砲をまたリーグ戦で見たいものだ。

DF 岸田 翔平(13)

右SBのファーストチョイスとして活躍した。攻撃力はそこそこあるが去年の田向や左の志知と比べると…という感じに加えて前述のクロス簡単に上げられすぎ問題もあり外山や浜崎に取って代わられることが多かったのが惜しまれる。守備に関しては特にセットプレーでの対応に関しては安定して体を張れていた印象がある。だから猶更サイドを上がってくる相手に寄せきれない部分がもったいなく思えてしまうのだが。

DF 志知 孝明(7)

左SBとして躍動。今年の出世頭と言って良いだろう。終盤3試合こそ勤続疲労か休みとなってしまったが全体で見ても特に長い稼働時間でチームを支えた。守備に関しては最低限のノルマではあったがこなせていたし致命的なクロスを上げさせなかったりギリギリのブロックも何度も見られた。そして攻撃面では文字通りチームを引っ張る5ゴール5アシスト。クロスボールはもちろんだがFKのキッカーとしても結果を出したのは見事としかいう他ない。今年のチームMVP候補。課題を上げるとすれば左SHが木村以外の選手の時やボランチとのラインが切られた時の連携の選択肢を増やすことだろうか。でもそもそも来年うちにいるんだろうか…。

DF 浜崎 拓磨(3)

期待されながらも「守備があまりよくない」という理由でなかなか使われなかったが終盤天王山となる柏戦で起用されると直接FKをスーパーゴラッソ。その後は完全に攻撃力を期待されて右サイドで起用されることになった。攻撃力に関しては志知同様高いものを持ち、特にプレースキックでは茂木と並んでチーム随一の精度を誇る。正直なんでDF登録なのか理解に苦しむのだが前は茂木も福満も(後最悪黒川も)いるので致し方ないか。来年は守備力の向上を目指さないと監督人事次第では使われなくなる可能性もありそうなので頑張って欲しいところ。