ゴジラSP最終話を見ての考察(ネタバレあり)

はじめに

今期は珍しく複数のアニメを見ていたのだが、非常に面白かったのがこのゴジラSPだ。元々Netflix配信で後追いがTVという形式になっており、ネット配信はNetflix以外にないので見直すために加入してしまったくらいには面白かった。
脚本を円城塔氏が手掛けているだけありとてもSF的な要素が強く、考察要素が多い(ただ無理に考察しなくてもいいよというメッセージ的なものも多々あった気がするのだが)作品だった。最終話を見てとりあえず何が起こったかを自分の考えの整理としてまとめておく。ちなみに現時点でTVはまだ最終話配信されていないのでネタバレされたくない人は注意。

ペロ2(とペロペロたち)は何をしたのか

これについては前提として遺伝アルゴリズムの話をしておく必要がある。端的に言うと遺伝アルゴリズムは可能性のある選択肢を並列的に提示して、それを条件付けして不要なものを淘汰することで正解にたどり着くというものだ。
アンギラス対峙時にユンがジェットジャガーの姿勢制御を遺伝アルゴリズムで学習させていた場面があったと思う。
現実に研究されているDNAコンピュータや量子コンピュータのためのアルゴリズムもやっていることは同じで、実際に選択肢を展開した上でDNAコンピュータは淘汰、量子コンピュータは確率収束によって「不要な結果を剪定する」。
ただしこれらは現在存在する普通のコンピュータ(古典計算機)では疑似並列的にしか計算できないため実際に期待される速度を出すことができない。量子コンピュータが画期的を言われるのはまさにあらゆる可能性を全て並列に並べて処理することができる計算機だからなのだ。
さて、作中既に言われている通り特異点を利用した超計算機で未来に向かって計算すると分裂した未来にぶちあたり結果が競合するのだが、ペロ2は自分からそこに乗り込んで自身が分裂することを発見している。ペロ2はこれとユンから受け取っていた「ジェットジャガーを最強にするプロトコル」(ちなみにこれ自体はおそらく単に計算量が多すぎて通常の計算機では計算できない遺伝アルゴリズムによる成長プログラムだと思われる)を組み合わせて強化することを思いついたのではないだろうか。
すなわち、ペロペロ各個体にユンのプロトコルを持たせて未来に向かって計算を進行させ、生物の淘汰のごとく自身を増やしては優秀な計算結果を持つ個体を残して他は淘汰するというのをループして繰り返していたということになる。この辺りは最終話冒頭のペロペロたちの会話の中で示唆されている(「答えにたどり着いたものを私たちの子孫と認定する」)。またこの計算の中にはおそらくアーキタイプそのものの性質変化や特異点そのものが何であるかといったものを含まれていることだろう(特に前者はやっておかないとOD状態にたどり着けないはずなので)。

Alupu upulaの意味

あの歌の発信元は最終話で言及されていた通りペロ2/ペロペロ自身が発信していた。曲自体はに関してはあの時点でペロ2だけでなく関係者全員が知っていたということで選んだのだろう。
完成したプログラムをジェットジャガーに送信するということだけであれば非常に迂遠にも思えるが、50年前の時点から最終的にジェットジャガーに曲を届けるところまでどうやって事象をリンクさせていくかという部分についてはペロ2なりの試行錯誤があったのではないかと思われる。後、もしかしたら歌が流れる=ペロペロたちがその時空間の特異点を拠点に何かをしているということなのかもしれない。

ジェットジャガーの進化はなんだったのか

あれに関しては正直「監督があれをやりたかっただけだろ!」というコメントしか出てこないのだが、ネットでも言われている通りそこに理由をつけるのがこの作品自体の目的でもあるように思える。
基本的にはODとジェットジャガーをコアにして、ペロペロが進化の過程で習得したアーキタイプ制御能力をODを媒介にして発揮したことで生成されたアーキタイプ製のボディだろう。最終的には自身とゴジラの体そのものであろうアーキタイプに干渉してフェーズ13に引き上げることで全てのアーキタイプを昇華することに成功した。
覚醒した直前ODが発光していたのでOD自体がキーなのかとも思ったがペロペロが全てを思い出すためのキーは位置情報(東京駅上空100m)の方な気がする。

未解決な謎:現存する超計算機たちはいったい何なのか?

これまでの色んな人が考察してきた過去遡行説だがこちらに関しては結局ほぼ無いのかなと思っている。最後ジェットジャガーゴジラも消えてしまっているので可能性としてまだゼロではないのだが、その辺を言い出すとウバラの超計算機はなんなんだよみたいな話もあるのでミサキオクの骨ともどもあれは過去に倒された怪獣の骨と思っておくのが正しいのではないだろうか。
ちなみに自分の考察ではウバラの超計算機はサルンガの同族(家族かもしれない)の骨なのではないかと。

第二期やるんですかね?

楽しみだけどうーん…(苦笑)。個人的にあれはレジェゴジとかマーベルのエンドロール後のやつのパロディではないかということであまり期待せず待っておきます。というかパンストのED後を真っ先に思い出した。まあこれも散々言われてるけどスティーブンとかあのツラして意外と世界平和のためとか考えてそう。怪獣の来た世界とかその辺の世界観はパシリム的なものも感じるのであちらの世界の新たな敵と戦うためとか考えるとワクワクしますね。
余談だが葦原博士が計算爆発を起こしたのは不要な結果の淘汰を行わず(行えず)ループさせた結果な気がするけどあのエンド見ると計算爆発で行方不明っての自体偽装の香りがするよね…。まあ計算爆発でタスクが実行不能になったこと自体は本当だと思うのだけど。