PLUTO (1) (ビッグコミックス)

鉄腕アトムの名エピソード「史上最大のロボット」を浦沢直樹が翻案した作品。手塚治虫が書いたそれが派手な戦い(特にプルートウの)を描いたものであったのに対し浦沢直樹の本作品ではプルートウの姿は見えず浦沢作品らしいミステリタッチのものとなっています。ですがその根底に共通してあるのは「ロボットの心」というテーマです。1巻で象徴的なのがノース2号のエピソードでしょう。手塚版では実にあっさりと破壊されるノースですが、浦沢版では彼を雇った老音楽家と心が通じ合う過程を描くことで最後のプルートウとの戦いを劇的なものにしています。この戦いで両者の姿は一度も見えません。老音楽家がノースの帰りを待つ姿が泣かせます。
今後の展開があくまで原作に忠実なものになるのか、それとも手塚版の大どんでん返しを踏まえつつ独自の色を出していくのか。今後の展開に期待です。