ブルーリフレクション澪感想

無印と帝、二つのゲームをつなぐアニメ

というわけで放送終了からどんだけ経ってるねんという感じではあるのだが、ブルーリフレクション帝が発売されて序盤をある程度終わらせたこの時点で改めてこの作品の感想を書いておきたい。
ブルーリフレクション澪は無印となるブルーリフレクションの続編となるクロスメディアプロジェクトとして発表された澪、帝、燦の三作品のうちアニメで展開された作品で、2クールで無事(ではないが)完結した。
性質上前作とのつながりはあるがそこは意識しなくても問題ない。なぜなら前作プレイしていてもわからないことが多すぎるから…。

20年前なら評価されたとは思うのだが

まずアニメ全体としての評価の話。こちらは非常に世間的には芳しくなかった。1クールアニメが一般化した現在では初めから2クール想定でゆっくりじっくり進めるスタイルが合わないことに加えて、作画の問題(良い悪いの話ではないとは個人的に思うのだが岸田メルの原案とあまりに差があることと全体の古臭さが酷評されていた)もあり早々に切られてしまい、発売予定だったBDが早々に取りやめになるなどさんざんであった。一方で前半のクライマックスである10話あたりからはかなり面白く、そこまで耐えたファンからはかなりの評価は得られている。結局のところ時代に合っていなかったという感が強い。言うまでもないけど自分は文句言いながら最後まで楽しみましたが。

世界は救えても人一人救えない魔法少女の物語

澪のテーマはここに尽きる(このテーマが見えてくるのが2クール目なのも評価が下がる原因な気はするのだが…)。シリーズを通して登場する魔法少女、いわゆるリフレクターは基本的に精神世界でしか力を振るえず、人の心に対しては安定させるくらいしかできない。安定させること自体が世界を救うことにつながるのだが無印は特に出てくる悩みは切実ではあるもののそこまで極端に切羽詰まったものはほぼ無く、それがある意味作品特有の緩い空気につながって来た。それに対して澪でのキーとなるキャラクターの抱える問題は明確に生死にかかわるものが多く、特にとあるキャラクターがヒロインの姉美弦に突き付けた「私を本当に救いたければあいつを現実で殺してくれ」(意訳)という言葉はすがすがしいまでの前作への頭部死球であった。最終的にアニメでは世界を救うためにこのキャラクターの心を救った…はずなのだが帝を見る限り世界は心を救った時点で手遅れになっていたことが示唆されており、その辺も含めて非常に攻めた内容で面白かったと思う。

澪を見ずに帝・燦をやる人向けの解説

以下ネタバレあり。

世界線

澪公式ページの用語解説を参照。澪の物語は過去の1周目、現在の2周目という二つの世界線が存在する。これは無印ラストで白井日菜子が原種を倒したことにより原種がいない世界線が派生したことによるもの。
無印で崩壊した拠点の話にちらっと触れているのは澪の過去の敗北エンドを指している可能性が高い(というかそれをもとに澪の話が作られたと言ってよいだろう)。
帝・燦もこの2周目の世界線がベースとなっており、どちらも澪後の世界となる(多分)。
2周目世界ではAASAという組織がリフレクターになるための青い指輪ブルーリフレクションを製造している。一方で出所不明の赤い指輪(ルージュリフレクション)が存在しているようだが…?(こちらは燦の前振りであるようだ)
澪終盤の事件により現実世界とコモンの境界は一度崩壊しており、澪ラストで修復されたもののその際発生した降灰と呼ばれる現象は継続しており人的被害も出ていることが帝で語られている。

人物

  • ユズとライム

無印から続投。澪では精神世界コモンの番人のような立ち位置となっている。

  • 平原陽桜莉

主人公の一人。パートナーの瑠夏とともに戦うが瑠夏は帝には未登場。彼女の指輪は本来姉美弦にAASAから渡されたもの。

  • 平原美弦

陽桜莉の姉。1周目世界では青い指輪を持ち原種と戦うがその中で先述した選択の言葉を発した少女を救えず死なせてしまったことに加え妹の陽桜莉のフラグメントを破壊してしまったことが契機となり原種に敗北する。2周目世界では赤い指輪を持ち1周目の悲劇を回避し全ての少女の心を救うためと称して陽桜莉の前に立ち塞がる。澪ラストでは指輪は浄化されて青くなったが帝で変身はできない模様。

  • 駒川詩

赤い指輪を持ち最後まで敵として立ち塞がる。そのため彼女だけ赤い指輪は浄化されておらず、帝の段階でも赤いはずである。澪時点でほぼ性格は破綻しており既に思い(フラグメント)を喪失していることも示唆されている。

  • 靭こころ

終盤AASAの見習いリフレクターとして顔見せに登場した。帝の描写を含めるとAASA所属のリフレクターは行動エリアが被らないもの同士はほとんど交流がなく互いの存在も知らないようだ。