さようなら、いままで魚をありがとう

さようなら、いままで魚をありがとう (河出文庫)

さようなら、いままで魚をありがとう (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイドシリーズの4作目。基本的に3作目で話は一区切りついており、この4作目と次の5作目は後日談的な話と捉えるほうが良いかもしれません。
ヒッチハイクの果てにアーサー・デントがたどり着いた惑星。そこは破壊されたはずの地球だった。アーサーはそこで自宅への道すがら「運命の人」フェンチャーチに出会う・・・。というわけで今回はアーサーとフェンチャーチの物語。フェンチャーチは1巻冒頭に出てきた女性であり、ほかでも無い「問いを知っていた」はずの女性。何故彼女と地球が無事だったかと言えばそれは平行宇宙だからですね。今作は並行宇宙をテーマとしもう一つの地球の秘密をアーサーとフォードが解き明かしていくというのが作者の当初の目論見だったようですが、作者の遅筆やらなにやらがたたったのか途中から大幅に路線が変わり、SFではなくラブストーリーとして感動的な盛り上がりを見せます。そういう意味では世間の評価はかなり両極端になっている模様。作者もエピローグでなにやら言い訳めいたことを書いています。
フォードが全体的にオマケ扱いになってしまっていますし、トリリアンとゼイフォードに至っては一言触れられるだけなので*1今までの掛け合いは無いですが作品としての完成度は最終巻となる5作目と共に極めて高いです。

*1:もっともその一言が5作目で重要な意味を持つんですが