ロジャー・ゼラズニイ「地獄に堕ちた者ディルヴィシュ」

本屋で新品を奇跡的に発見したので保護。そのまま旅行のお供に。真世界アンバーシリーズで知られるゼラズニイが長期にわたって書きつづけていた連作集。邪悪な魔法使いの儀式を邪魔したため石像に変えられ魂は地獄に堕とされた英雄ディルヴィシュの魔法使いへの復讐の旅の物語。
こう書くと恐ろしくベタかつ結構重そうな物語ではあるけれど、それに対するアクセントとなっているのがディルヴィシュ本人の結構ちゃらんぽらんで話の暗さを感じさせない性格と、これまたなかなか良い性格をしている相棒の地獄の馬ブラック。おかげでどちらかというと二人の旅は「珍道中」というのにふさわしいものになっており、ゼラズニイ独特の軽妙な台詞まわしとあいまって面白い。無論翻訳の良さもあると思うけれど非常にテンポが良いので読みやすいですね。個人的には幻覚の中で人の姿を得たブラックがディルヴィシュと共に背中を預けて闘う話が二人の絆を物語っていて好きなエピソード。
続編もあるらしいけれどこちらも現在は入手困難な模様。古本屋を回るしかないかなあ。