銀河ヒッチハイク・ガイド

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

Roguelikerにはそれこそ今更なSFの古典シリーズ。nethack(特にTNG)ではこのシリーズのネタがかなりの数盛り込まれています。
自宅がバイパス工事のため取り壊されることになって抵抗中の主人公アーサー・デント。しかしなんと地球が宙間バイパス工事のため取り壊されてしまい、たまたま友人のフォード・プリーフェクトが実はペテルギウス人だったために彼と地球を脱出。最後の地球人として*1フォードと共に空間と時間を彷徨うというのがこのシリーズの粗筋。
このシリーズで面白いのは非常にシュールかつ風刺的な語り口と、科学ネタが好きな人間にはたまらないトンデモなギミックでしょう。1作目でポイントとなるのはアーサーたちが乗り込む「黄金の心」号の不可能性ドライブ。これは量子力学をネタにしてこんな世界なんですよ、と良く説明される「東京にいたトラックが京都に一瞬にして移動する確率はどれだけか」を地でいく代物。その確率を操作することにより宇宙のあらゆる場所に一瞬で移動できてしまうというものです。ただし確率を操作する副作用は色々あるようで、この副作用がまた色々面白いです。「無限数のサルがハムレットの台本が出来たから話がしたいと言っているんだけど」というアーサーのセリフはその手の話が好きな人はニヤリとするのではないでしょうか。
このシリーズは元々ラジオドラマを5冊の小説に再構築したもので、5冊まとめて一つの話となっているのでまとめて読むのがお勧めです*2
なお、このシリーズでは根源的なテーマとして「answer to life, the universe and everything」(邦訳では人生、宇宙、その他諸々)という物が出てきます。これをgoogle電卓で計算すると・・・(日本語でgoogle電卓で計算する時は「人生、宇宙、すべての答え」)。答えの意味が分からない?この本を読めば何が原因かわかります。

*1:厳密にはもう一人生存者がいるが

*2:私もまだ三冊目ですが