結局プログレってなんなのさ

Mixiのコミュで出てた話題。どうもプログレファン自身の意見だと自虐的な意見が多いようだがここで自分の考えを書いてみたい。
プログレのバンドを語る上で欠かせないのは4大バンド*1を初めとする有名どころそれぞれの初期または前身における音楽傾向。YESであればファーストアルバムにはビートルズEvery Little Thingのカバーが入っているし、Pink Floydは同じくビートルズではあるが傾向の違うサージェント・ペパーズに近いサイケデリックまたは民族色の強い音楽である。そしていずれのバンドも後年でも基本的な傾向はそのまま継承されていると言える。ここで重要なのはポップに大仰な音をひたすらに飾り付けて行ったYESとジャズとハードロックの融合を図ったKing Cromsonを一つのジャンルとしてくくることは可能か?ということである。私としてはそれは否である。この辺はジャンルに様式を求める人が殊更にこだわる点であるが、じゃあYESとKing Cromson、はたまたDream TheaterAsh Ra Tempelを様式という面でいっしょくたに出来るかと言われても不可能であろう。
私の考えるプログレッシブロックと言うのは二つの意味を持つ。一つは70年代〜80年代を中心としたムーブメントとしてのプログレッシブロック。所謂「ビートルズ以後」において彼らは自分達だけの音楽を求めて色んな方向に歩いて行った。その中でも有名になったもの、後進の範となった者達の音楽とその類似の音楽にはジャンルが与えられた。ここで言うプログレッシブロックとはそのような後にジャンルが成立したか否かにかかわらず行われた実験的な音楽およびそれを積極的に作っていこうというムーブメントであると考える。これらの運動の副産物としてロックでありながらロックではないジャンルも数多く生まれたが、その代表的なものがジャーマン・テクノでありカンタベリーであろう。
もう一つの意味でのプログレッシブロックは様々な音楽のジャンルを包含する大分類とも言えるくくりを示すものだ。その中でも国内のプログレ愛好者は先に述べた「ロックでありながらロックではないジャンル*2」を広く包含するくくりとしてプログレッシブロックという言葉を使っているように思える。これは恐らく渋谷陽一氏以降の流れであろう*3
個人的にはやれ変拍子がどうだ、難解な歌詞だどうだ、曲の長さは20分以上だとか言う話は非常にナンセンスであるし、初心者がプログレに入るのを逆に阻害しているようにも思える。そういう人間がプログレコピーバンドなぞやってしまうと往々にして曲の良さもへったくれも無いただのネタ当てゲームになってしまうものである。結局音楽なんて自分の好きなものを聞いて感動できればそれでよかろうなのである。既存の様式を打ち壊し新しい世界に挑戦していくべきプログレッシブに様式の定義は必要ない。聞いて良い曲だと思え、「ああ、いつも聞く音楽とは少し違う」と思えるものが私があるべきと思うプログレッシブロックの姿である。

アシュ・ラ・テンペル・ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様)

アシュ・ラ・テンペル・ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様)

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*1:YES、King CrimsonPink FloydGenesis

*2:平たく言えばクロスオーバーだ

*3:余談だがプログレファンはアンチ渋谷派が多い・・・