水戸ホーリーホックの2020年。苦しいシーズンで見せた新境地

2020年のシーズンはたびたび書いてきたがコロナウイルスとその対策に振り回されたシーズンとなった。最大の影響はシーズン中断をはさんだしわ寄せによる超過密日程で、2週で5戦が基本ローテーションとなる過酷なものであった。
その中で我らが水戸が大きな怪我をする選手も少なく手持ちの選手をほとんど全員稼働させて走り切ることができた。これはまず素晴らしい結果だと思う。
実際のサッカーに関しては今年は秋葉監督の元超攻撃サッカーを掲げて戦った。実際この手のお題目がトーンダウンせず1年継続できることは本当に珍しいのだが、水戸はそれを本当にやりきってしまった。結果としてJ2トップの68得点を積み重ねた。一方で攻撃偏重の代償として失点も下から数えて4位タイの62失点となったのだが。順位は結果としてトップハーフに食い込む9位となったがこれは1年目としては上々だろう。金がないチームが風間名古屋リスペクトしてどうするんだ見たいな思いもあったのだが自分のやりたいサッカーをするために乏しい資金の中から監督・選手ともに最良を見出してくみ上げた西村GMの手腕は十分評価できるものだった。
チーム戦術として見た時、ハイラインハイプレスが良く今年の水戸の特徴として挙げられるが、個人的にはむしろ一旦DFラインでセットしてから攻める際の選択肢の多さを評価したい。特に相手がプレスに来ても長いボールに頼らず外せる場面が昨年と比べても大幅に増えており、結果的に攻撃のオプションが大幅に増えたのではないだろうか。逆にここの外すときの動きの成否が得点にも失点にもつながっていた感はあるので来年はここの精度向上に期待したい。ボランチ・CBのパスの精度が上がれば失点は10は減っているはずだしそうなれば勝ち点的にも後3つ4つ上は行けていたはずだ。
これを書いている時点で既にストーブリーグも過熱しており(というか今年は日程上オフが短く毎年後手に回らざるを得ない水戸の動きは若干心配ではある)、来年どのような編成になるかはまだまだわからない。既にDFリーダーであるンドカの移籍が決まっているほか、両サイドバックの移籍またはローン返却も確定している。一方でセレッソの山根(去年は金沢にローン移籍)という強力なFWの加入も決定しており、来年も今年と同じ方向で行くという西村GMの強い意志を感じる。来年は降格4という今年とは全く別の意味で厳しいシーズンではあるが、その中で今年の攻撃力を維持しながら守備力をどう上げていくか、西村GMと秋葉監督の手腕に期待したい。
最後に一点余談というか愚痴というか。今年からボディコンタクトのルールが変更になり上半身での当たりはほとんどファールを取られなくなったのだが、その中で山口がこの上半身でのタックルを受けてサッカー人生に影響を及ぼしかねない怪我を負ってしまったことは本当に残念だ。相手選手にも審判にも文句を言う筋合いはないし去年のルールでも阻止できたかわからない事案ではあるが、もう一度選手を守るために本当に今のルールが適切なのか改めてリーグに再考を求めたい。